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平成29事務年度の所得税・消費税調査 海外投資や富裕層を注視

2018/12/04

 国税庁はこのほど、平成29事務年度における所得税および消費税調査等の状況を公表した。それによると、所得税の実地調査の件数は、特別調査・一般調査が4万9735件(対前年比101.5%)、着眼調査が2万3218件(同109.4%)、簡易な接触の件数は54万9684件(同95.3%)で、これらの調査等の合計件数は62万2637件(同96.2%)。そのうち申告漏れ等の非違があった件数は38万3908件(同95.9%)だった。

 申告漏れ所得(調査等の対象となったすべての年分の合計)金額の状況を見ると、特別調査・一般調査によるものが5080億円(同112.9%)、着眼調査によるものは814億円(同94.7%)。一方、簡易な接触による申告漏れ所得金額は3143億円(同89.2%)。調査等の合計は9038億円(同101.7%)となっている。

 実地調査による追徴税額は、特別調査・一般調査によるものが887億円(同117.8%)、着眼調査によるものは60億円(同90.9%)で、合計947億円(同115.6%)。また、簡易な接触による追徴税額は249億円(同85.0%)となり、合計1196億円(同107.6%)となっている。

 1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種は次のとおり。
 1位「キャバクラ」(2897万円)、2位「風俗業」(1974万円) 3位「不動産代理仲介」(1774万円)、4位「システムエンジニア」(1365万円)、5位「機械器具、部品修理」(1357万円)、6位「焼肉」(1356万円)、7位「冷暖房設備工事」(1254万円)、8位「人材派遣」(1246万円)、9位「バー」(1245万円)、10位「ダンプ運送」(1233万円)

 一方、消費税(個人事業者)の調査等を見ると、実地調査の件数は、特別調査・一般調査が2万8415件(同100.7%)、着眼調査が9504件(同112.8%)、簡易な接触の件数は4万9631件(同99.0%)となり、調査等の合計件数は8万7550件(同100.9%)。そのうち申告漏れ等の非違があった件数は6万2205件(同101.9%)だった。

 追徴税額(調査等の対象となったすべての年分の合計で加算税を含む)は、特別調査・一般調査が250億円(同113.1%)、着眼調査は22億円(同91.7%)簡易な接触による追徴税額は50億円(同89.3%)で、調査等合計で322億円(同107%)となっている。

 なお、国税庁では、海外取引等を行っている個人や海外資産を保有している個人などに対し、国外送金等調書、国外財産調書、租税条約等に基づく情報交換制度などを効果的に活用し、積極的に調査を実施。平成29事務年度における実地調査は4616件、申告漏れ所得金額の総額は977億円で、追徴税額は203億円。1件当たりの申告漏れ所得金額は2116万円となり、これは全体の1件当たりの申告漏れ所得金額1021万円の約2.1倍となっている。

 そのほか、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に「富裕層」への調査も積極的に取り組んでおり、実地調査の件数は5219件、追徴税額は177億円。1件当たりの追徴税額は339万円で、全体の1件当たりの追徴税額178万円の約1.9倍となった。

 また、無申告者に対しては的確かつ厳正に対応し、平成29事務年度の調査件数は7779件、申告漏れ所得金額は1662億円(1件当たり2136万円)、追徴税額は207億円(同267万円)だった。そのほか、インターネット取引を行っている個人に対し、資料情報の収集・分析を行った結果、実地調査は2015件で、申告漏れ所得金額は219億円(同1087万円)、追徴税額は37億円(同186万円)となった。

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