業績連動型譲渡制限付株式報酬の業績連動給与該当性について文書回答
2021/03/23
熊本国税局はさきごろ、企業から事前照会があった「業績連動型譲渡制限付株式報酬の業績連動給与該当性について」の文書回答を公表した。
照会者(企業)は、同社の取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除くすべての業務執行役員。以下、対象取締役という)に対し、同社の企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与えるとともに、対象取締役と株主との一層の価値共有を進めることを目的とした業績連動型譲渡制限付株式報酬制度を導入することを予定している。
同制度は、対象取締役に対して譲渡制限付株式を割り当てるために、同社の各事業年度を評価対象期間とし、対象取締役の役位に基づいて定めた金額に業績支給率を乗じた金額を金銭報酬債権として付与し、当該金銭報酬債権の全部を現物出資財産として同社に現物出資させることで、対象取締役に譲渡制限を付した上で同社の株式を交付し、これを保有させるというもの(以下、同制度に基づき対象取締役に交付される譲渡制限付株式を「本件株式」という)。
なお、同制度の導入に当たり、同社と対象取締役との間で締結する譲渡制限付株式割当契約により、対象取締役は、本件金銭債権の給付期日から取締役を退任する日までの間、本件株式について譲渡、担保権の設定その他の処分をすることができないこととする。
また、同社は、対象取締役に一定の非違行為があった場合または正当な理由による退任もしくは同社がやむを得ないと認めた事由による辞任以外の事由により退任した場合には、本件株式を無償により取得する(支給後の業績指標により無償で取得する株式の数が変動するものではない)。
評価対象期間の終了後、最初に開催される定時株主総会の日までに任期満了その他正当な理由により対象取締役が取締役の地位を退任した場合は、上記と同様の算定式を用いて算出された数の譲渡制限が付されていない普通株式(以下、退任時交付株式という)を交付する。
そこで照会した内容は、同制度により、同社が対象取締役から受ける役務の提供に係る費用の額については、法人税法上、業績連動給与として本件株式による給与については譲渡制限が解除されることが確定した日、退任時交付株式による給与についてはその支給すべきことが確定した日の属する事業年度の損金の額に算入すると解して差し支えないか。また、対象取締役において、譲渡制限が解除されることにより生ずる所得および退任時交付株式の取得による所得は、所得税法上、いずれも退職所得に該当するものとして差し支えないかという照会が行われた。これについて熊本国税局は、いずれも照会に係る事実関係を前提とする限り、差し支えないと回答している。