金融庁の30年度税制改正要望 NISA の即日買付けを可能に
2017/09/05
金融庁はこのほど、平成30年度税制改正要望を取りまとめた。
まず、NISA(少額投資非課税制度)については、口座開設数が約1000万口座、買付金額が約10.5兆円となるなど、制度開始以降、着実に普及している(一般NISA:平成29年3月末時点)。しかし、一方で、口座開設以降一度も買付けが行われていない口座が相当数にのぼるなど稼働率の向上には課題がある。
この理由の一つとして、現在、投資家がNISA口座の開設を申し込んでも、当日には二重口座でないことの確認が必要なため買付けができず、2回目の来店までに買付け意欲を失い、買付けが行われないことが挙げられている。そこで、NISA(一般NISA、ジュニアNISA、つみたてNISA)の口座開設申込時に、即日で買付けを可能とすることを要望した。
また、外国子会社合算税制(CFC税制)に関する要望も盛り込まれた。CFC税制とは、国内の親会社の所得を実質的活動を伴わない外国子会社に移転させることによる租税回避に対処するため、外国子会社の所得を国内の親会社の所得に合算して課税する制度。
平成29年度税制改正では、CFC税制について日本企業の海外進出を促進しつつ、租税回避に有効に対処できるよう見直しが行われたが、例えば、海外の金融持株会社については、租税回避目的がないにも関わらず、外国政府の出資規制のため合算対象となってしまうケースがあった。そこで、こうした海外の様々なビジネスの実態を踏まえ、金融機関の一部の業務の取扱いについて所要の措置を講じることを要望している。
そのほか、次のような要望を出している。
●投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境を整備し、証券・金融、商品を一括して取り扱う総合取引所の実現にも資する観点から、金融商品に係る損益通算範囲をデリバティブ取引・預貯金等にまで拡大すること。
●生命保険料控除制度の拡充として、所得税法上及び地方税法上の生命・介護医療・個人年金の各保険料控除の最高限度額を5万円および3.5万円とすること、また、所得税法上の保険料控除の合計適用限度額を15万円とすること。
●高齢者が老後資金のために蓄えた資産を安心して保有し続けることのできる環境を整備する観点から、相続税に係る見直しを行うこと。