29事務年度相続税調査 簡易な接触1万1千件のうち申告漏れ等7千件
2018/12/19
国税庁はこのほど、平成29事務年度における相続税の調査状況を公表した。それによると、実地調査の件数は1万2576 件(平成28 事務年度1万2116 件)、このうち申告漏れなどの非違があった件数は1万521 件(同9930 件)で、非違割合は83.7%(同82.0%)。
申告漏れ課税価格は3523 億円(同3295 億円)で、実地調査1件当たり2801 万円(同2720 万円)。申告漏れ相続財産の金額の内訳は、「現金・預貯金等」1183 億円(同1070 億円)が最も多く、次いで「有価証券」527 億円(同535 億円)、「土地」410 億円(同383 億円)、「家屋」62億円(同56億円)となっており、これらの財産以外の「その他」は1289億円(同1189億円)だった。
追徴税額(加算税107億円を含む)は783 億円(同716 億円)で、実地調査1件当たり623 万円(同591 万円)。重加算税の賦課件数は1504 件(同1300 件)、賦課割合は14.3%(同13.1%)となっている。
国税庁では、実地調査のほか、簡易な接触(文書や電話による連絡または来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤りなどがある申告を是正するなどの接触)を実施している。平成29事務年度における簡易な接触の件数は1万1198件(同8995件)、このうち申告漏れなどの非違および回答などがあった件数は6995件(同5771件)で、この割合は62.5%(同64.2%)だった。
無申告事案に係る調査事績を見ると、平成29事務年度は1216件(同971件)に実地調査を行い、そのうち申告漏れなどの非違件数は1025件(同751件)、申告漏れ課税価格は987億円(同866億円)、追徴税額(加算税16億円を含む)は88億円(同69億円)だった。実地調査1件当たりの申告漏れ課税価格は8117万円(同8914万円)。相続税調査全体の1件当たりの申告漏れ課税価格2801 万円と比べて約2.9倍となっている。1件当たりの追徴税額は722万円(同708万円)。
海外資産関連事案については1129件(同917件)に実施調査を行い、申告漏れなどの非違件数は134件(同117件)、申告漏れ課税価格は70億円(同52億円)だった。非違1件当たりの申告漏れ課税価格は5188万円(同4483万円)だった。