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路線価2年ぶりに上昇 新型コロナの影響緩和

2022/07/07

 国税庁が7月1日に発表した路線価(令和4年1月1日時点)によると、全国平均の変動率は前年比0.5%プラスとなり、2年ぶりの上昇。コロナ禍からの影響が少しずつ緩和され、全体としては上昇傾向となった。ただ、大阪など海外からのインバウンド需要減退の影響を大きく受けた地域で下落が続く一方、国内観光客の人流が戻り始めた地域では回復の兆しもあり、全国的には上昇と下落が交差し、まだら模様の回復となっている。

 路線価は、相続税、贈与税に係る土地等の評価額の基準となる。原則として公示地価を基にした「時価」の8割程度を1年間の目安として定めているもの。年の途中で土地の実勢価格が大幅に下落し、路線価が「時価」を上回った場合、必要以上の納税額とならないよう、不動産鑑定士による鑑定評価額を基にした個別評価が行われている。

 今回、最高路線価が上昇した都道府県庁所在都市は15都市(前年比7増)で、横ばいは16都市(同1減)、下落は16都市(同6減)。コロナ禍からの回復を受けて、上昇都市の多くでは前年から上昇率の拡大が見られる一方、下落都市では下落率の縮小および拡大が入り混じる。

 全国トップだったのは、東京都中央区銀座5丁目銀座中央通り(鳩居堂前)で1㎡当たり4224万円(前年比1.1%下落)。2年連続で下落したものの、37年連続の最高価額。2位は大阪市北区角田町御堂筋の同1896万円(同4.0%下落)、3位は横浜市西区南幸1丁目横浜駅西口バスターミナル前通りの同1656万円(同3.0%上昇)となり、上位16位まで前年と同じ順位だった。

 都道府県庁所在都市の中で最も上昇率が高かったのは、千葉市中央区富士見2丁目千葉駅前大通りで1㎡当たり124万円(同5.1%上昇)。これは駅前で進む再開発による影響が大きく、前年よりも上昇率が拡大した。このほか、札幌市中央区北5条西3丁目札幌停車場線通り(1㎡当たり616万円、前年比4.8%上昇)、広島市中区胡町相生通り(同329万円、同3.5%上昇)が上昇率の上位となっている。

 一方、下落率が最も大きかったのが神戸市中央区三宮町1丁目三宮センター街(同490万円、同5.8%下落)。前年比9.7%下落した21年路線価から下落率は縮小したものの、コロナ禍の影響で歓楽街の接待飲食は顧客回復が遅れ、店舗の収益性低下がうかがえる。

 都道府県別の平均変動率については、「上昇」が20都道府県(前年比13増)、「下落」が27県(同12減)、「横ばい」はゼロ(同1減)だった。上昇率が全国で最も高かったのは、北海道の4.0%上昇(前年比3・0ポイント増)。さらに宮城県の2.9%上昇(同1.5ポイント増)や福岡県の3.6%上昇(同1.8ポイント増)と政令市を有するエリアの好調さがうかがえる。

 海外からのインバウンド需要でにぎわった観光地の回復は、国内観光客の取り込みの差で明暗が分かれた。東京都台東区浅草1丁目の雷門通り(同3590万円、同1.1%上昇)と上昇に転じる一方、大阪府大阪市中央区心斎橋筋2丁目の心斎橋筋(同1416万円、同10.6%下落)は二桁減が続いている。

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