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がん対策に関する世論調査 治療と仕事の両立は「困難」

2024/03/18

 半数以上の人が、がんの治療と仕事の両立は難しいと考えている――。これは、内閣府が昨年10月に公表した「がん対策に関する世論調査」で明らかになったデータだ。厚生労働省では、がん患者の治療と仕事の両立支援を推進しており、その成果が企業などでも現れつつあるが、治療を受けながら働き続けるのは難しいと感じている人は依然として多いことが分かった。

がん治療と仕事の両立半数以上が困難と回答

 調査は昨年7~8月にかけて、全国の18歳以上から3千人を無作為で抽出。がんに対する印象やがんの予防・早期発見、がん患者と社会とのつながりなどについて郵送で尋ねたところ、1626人から回答を得た(有効回収率54.2%)。

 2023年3月に閣議決定された第4期がん対策推進基本計画では、「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」を全体目標として掲げ、「がん予防」「がん医療」「がんとの共生」の3本を柱に課題解決の施策が示されているが、その中でもがんとの共生に注目したい。

  調査では、「がんの治療や検査のために2週間に一度程度病院に通う必要がある場合、現在の日本の社会は、働き続けられる環境だと思いますか」という質問を投げているが、「どちらかといえばそう思わない」(39.1%)と「そう思わない」(14.5%)を合わせると、全体の53.5%が「そう思わない」と回答している。

 

 「そう思わない」と答えた870人に、働き続けることを難しくさせている最大の要因について聞いたところ、「がんの治療・検査と仕事の両立が体力的に困難だから」という回答が28.4%で最も多かった。以下、「代わりに仕事をする人がいない、または、いても頼みにくいから」(22.3%)、「職場が休むことを許してくれるかどうかわからないから」(15.7%)、「がんの治療・検査と仕事の両立が精神的に困難だから」(14.7%)、「休むと職場での評価が下がるから」(4.4%)と続いている。

 こうした状況を受けて厚生労働省では、がんの治療をしながら働く人を応援する情報ポータルサイト「治療と仕事の両立支援ナビ」を開設するほか、「治療と仕事の両立支援ハンドブック」を制作するなど、がんの治療を受けながら仕事を続けられる環境づくりを推進しており、企業などの両立支援の取組みも広がりつつある。実際、平成25年の調査では、同じ質問に対し「どちらかといえばそう思わない」(35,8%)と「そう思わない」(33.0%)の割合は68.9%だったので、「治療と仕事は両立できる」と考える人は単純計算で15.4ポイント増えている。ただ、働き続けることは難しいと感じている人も依然として多く、さらなる支援策が求められるところだ。

がんに対する印象は「怖い」 死や痛み、お金の心配など

 調査では、がんについてどのような印象を持っているか聞いている。回答を見ると、「どちらかといえば怖い印象を持っている」(4 1 . 0%)と「怖い印象を持っている」(49.3%)を合わせて1467人(90.2%)が「怖い」という印象を持っており、年齢別で見ると、その割合は18~29歳、30歳代で高くなっている。

 がんを怖いと思う理由(複数回答)としては、「がんで死に至る場合があるから」の割合が最も高く81.6%。そのほか、「がんそのものや治療により、痛みなどの症状が出る場合があるから」(62.6%)、「がんの治療や療養には、家族や親しい友人などに負担をかける場合があるから」(58.6%)といった回答のほか、「がんの治療費が高額になる場合があるから」(57.7%)など、お金の心配をする声も目立った。

ネット上の情報には要注意 不確かな内容に惑わされない

 インターネットなどで入手できるがんの治療法に関する情報の中には、手術や抗がん剤だけでなく、新しい治療法に関する様々な情報も溢れている。これらの情報について「十分な科学的根拠がなく、注意を要するものがあると思いますか」と尋ねたところ、「あると思う」(55.1%)と「ある程度あると思う」(35.0%)を合わせて注意が必要と感じている人は90.1%となった。

 ただ、自身や家族ががんと診断されれば、誰でも大きなショックを受けるもの。不安で押しつぶされそうな時に「がんに効く!」といった情報をネットで見つけたら、藁にもすがる思いで信じ込み、不安を情報で埋めようとするのは普通に起こり得ることだ。

 実際、ビワの種を食べるとがんに効くといった情報がSNSなどで広がったが、農林水産省は同省のホームページ上で「ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう」と注意を呼びかけている。その理由を見ると、ビワなどのバラ科の植物の種子に含まれているアミグダリンという物質について、インターネットや書籍で「ビタミンの一種」、「ビタミンB17」と称したり、「がんに効果がある」とうたったりして、アミグダリンを健康に良い成分として情報発信するものが見られるが、アミグダリンをビタミンとする説は現在では明確に否定されているほか、アミグダリンの有効性に関する情報については科学的に十分な根拠はなく、むしろアミグダリンから体内で青酸ができる可能性があるため、健康への悪影響が懸念されているという。

 国立がん研究センターが運営する公式サイト「がん情報サービス」でも注意喚起を行っており、「今日、インターネットでは手軽に情報を得ることができます。しかし、中には医学的に信頼できない情報、誤った情報もあります。「がんが消えた」などの派手なキャッチコピーや高額な出費を要求するサイトは注意が必要です。「私はこれで治った」などの経験者の話も、ご本人に当てはまるものとは限らないため、注意が必要です」と呼びかけている。

がんに関する相談先を 元気なうちに決めておく

 調査では最後に、がん対策について政府にどのようなことに力を入れてほしいと思うか尋ねたところ、「仕事・学校を続けられるための相談・支援体制の整備」、「がんに関する相談やその支援」を求める回答が目立った。

 がんについて相談先がない場合、インターネットで様々な情報を入手しようとするが、医療に精通していない人が、玉石混交の中から正しい情報だけを拾い上げるのは至難の業だ。特に、がんと診断されたら不安や恐怖心で冷静な判断ができなくなる恐れもあるだけに、健康で元気なうちに、がんになった時の相談先を決めておくことが重要といえる。

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