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インタビューInterview

RPAのメリットと注意点 作業の自動化ではなく業務の効率化を目指す

2021/02/19

藤森恵子 公認会計士・税理士

税理士業界でもRPAを業務に取り入れるところが増えてきたが、具体的にどのようなメリットがあり、導入する際にはどんな点に注意すべきなのか――。会計事務所や中堅・中小企業に対してPRAの導入支援から運用、管理まで総合的なコンサルティングを展開するASIMOV ROBOTICS㈱代表取締役の藤森恵子公認会計士・税理士に話を聞いた。
 

――RPAをよく知らない方もいますので、まずRPAについて簡単に説明していただけますか。
 RPAとは、パソコンによる作業を自動化できるソフトウェアです。面倒だと思う単純作業の繰り返しや判断を伴わない複雑な処理などを、あたかも人が行っているようにそっくり真似て自動処理してくれます。まさに「スーパーアシスタント」といった感じです。

――RPAというと「ロボット」という言葉が出てきますね。
 ロボットとは、自動化したい業務ごとに開発するアプリケーションのようなものです。会計事務所の場合、例えば、会計システムのデータから税務申告書を作る「税務申告書作成ロボット」、税務署からのメッセージをPDF化して顧問先ごとのフォルダに保存する「メッセージ格納ロボット」といった使い方があります。そして、こうしたロボットを開発するためのソフトウェアを「RPAツール」といいます。

――RPAを導入することでどんなメリットがありますか。
 一番のメリットは、人手不足が課題となっている中、ミスをしないで24時間働いてくれる労働力を確保できることです。単純作業をロボットに任せることで、人はより高付加価値な仕事に時間を割くことができます。会計事務所の職員は入力作業などに多くの時間を取られていますが、その作業から解放されれば、職員一人当たりの担当件数を増やすことができるほか、経営者と向き合う時間が多くなりますので、サービスの品質を向上させて顧客満足度を高めることができれば、顧問料アップも期待できます。

――RPAの導入において注意すべき点があれば教えてください。
 様々なRPAツールがリリースされていますが、技術的なバラツキが大きく、できることの範囲、利用方法、処理速度などに差があるため、導入の際には複数のツールを検討し、目的に合わせて選ぶことをお勧めします。また、導入にあたって最も大切なのは、RPAは単に作業を自動化させるものではなく、業務の効率化のために活用するものだという意識を持つことです。導入のその先に目指すものをしっかりと見据えなければ、効果を感じることなく時間と費用だけを浪費して終わってしまう恐れがあります。

――RPAを導入して何をしたいのかをハッキリさせることが重要というわけですね。
 まずは、いろいろと探りながら導入するのも良いと思いますが、最終的には業務整理をしながらRPAを活用していくと効果の出方が大きく変わってきます。実際、RPAの導入によって大幅なコスト削減を実現させた弊社のクライアントから「RPAのおかげです」と感謝の言葉をいただきましたが、これはRPAだけの成果ではなく、業務を整理しながら、そこに上手くロボットを取り入れたことによる成果です。

――業務整理とRPAが上手くマッチしたわけですね。
 もちろん、最初から単独で業務整理を行うのは難しいので、弊社ではRPAの適用業務の洗い出しから最終的な業務整理までクライアントと一緒に進めています。特に、最初の段階で適用業務を的確に洗い出すことは、RPAの成否のカギを握ると言えるでしょう。これをしないでロボットを作ることばかりに目が向いてしまうと、「ロボットで自動化させたい作業はどれか」ではなく、「ロボットを作りやすい作業はどれか」という視点になってしまう恐れがあります。

――そのほか、RPAの導入で気をつける点はありますか。
 RPAの特徴として「プログラミング不要で誰でもロボット開発できる」などと謳われていますが、確かにプログラミング言語の知識は必要ないものの、設計はプログラミングと同じですから、やはり一定の訓練は必要となります。また、ロボットは一回作ったらそれで終わりではありません。会計ソフトなどは必ずバージョンアップがありますので、それに対応するため継続的なメンテナンスが必要となります。ITスキルを持った人をRPA担当者として雇用するにしても、それなりの人件費がかかります。こうしたことがネックとなり、RPAの導入を諦めている方も少なくありません。そこで、弊社では設計・開発・メンテナンスまでRPAの専門的知識が必要となる業務はすべて受託し、マニュアルも研修も不要ですぐに利用できるサービスを提供しています。

――御社のサービスの特長を教えてください。
 私どもは、ある程度の作業量がある一連の業務をひとつのロボットとして自動化させています。そうすることで、反復回数が少なくても確実に効果を実感できます。また、人の使い勝手を意識して、あたかもアシスタントとやりとりするように一連の業務を人と分業しながら進めています。例えば、電子申告を実施し、直後に税務署から受け取るメッセージを印刷するという一連の業務において、機械的な作業である電子申告の準備はロボットに任せ、大事な申告業務は人が実行し、再び機械的な作業をロボットが処理することで、作業時間の大幅に短縮することが可能となります。なお、弊社では、クライアントに導入したロボットの活用状況を遠隔で管理し、利用状況を「見える化」していますので、使われていないロボットがあれば、毎月1回のコンサルティングの時などに理由をお聞きして、面倒なところや不便なところがあれば仕様を変更しています。この毎月のフォロー体制があるとないとでは、RPAの浸透率がまったく異なります。

――今後さらにデジタル化が進めば、会計事務所も顧問先からRPAなどITに関する相談を受けるケースが増えそうですね。
 三菱UFJリサーチコンサルティング㈱が201712月に実施した「人手不足対応に向けた生産性向上の取組に関する調査」によると、IT導入に関する悩みなどについて、公認会計士や税理士に相談している経営者は26.1%となっています。中小企業を悩ませている人手不足は解決する見込みがありませんので、生産性向上のためにIT化は避けて通れない課題といえます。その重要性は、中小企業庁が毎年のようにIT導入補助金など中小企業のIT化予算を確保し、目標値を定めていることからもうかがえます。特にIT導入の対象となるのはバックオフィス業務から進められることが多いので、会計事務所はその窓口として今後さらに重要な役割を担っていくでしょう。私どもは、会計事務所が顧問先へのアドバイスでITソリューションが必要な場合もお手伝いさせていただいております。是非、事務所のIT部門として気軽に使っていただき、ITに関しても相談可能な事務所として差別化を図っていただければと思います。

ASIMOV ROBOTICS㈱のホームページ  https://asimov-robo.com/

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