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インタビューInterview

IT時代のワークスタイルに合わせて経営者の悩みに土日や夜も迅速に対応

2018/05/15

遠山 優里 税理士

――遠山先生は国税局や税務署に勤務されていましたが、いつ頃から税理士になることを考えましたか。
 最初はまったく考えていませんでした。むしろ、勤務時代はできるだけ上に登り詰めて大きな仕事をしたいという野心を持っていました。ところが、私の母が体調を崩して入院し、実家の金沢と東京を新幹線で行き来するようになり、体力的にも精神的にも限界が近づいた頃、第二の人生として税理士の道を考えるようになりました。その後、税理士登録して国税時代の先輩の事務所で週2~3日のペースで働いていましたが、母も少しずつ元気になってきて、私自身も税理士として納税者のためにもっと役に立ちたいという思いが強くなり、独立することを決意しました。

  ――顧問先ゼロの状態からどうやって増やしていきましたか。
 Facebook(フェイスブック)などSNSを日常的に使っていますが、お客様の第一号はフェイスブックからの依頼でした。国税時代に顔見知りになった方で、それ以降はフェイスブックのチャットだけで繋がっていましたが、起業するので顧問税理士になってほしいと依頼されました。実は、二人目のお客様もフェイスブックを通じて知り合った方で、その方とは依頼を受けるまで一度もお会いしたことがありませんでした。

――SNSだけの繋がりということですか。
 はい。今、放送大学で勉強していますが、その方とは放送大学のフェイスブックページで知り合いました。地元の金沢の方で、チャットで勉強方法などをやり取りしていましたが、その方も起業するということで仕事の依頼を受けました。その後は少しずつお客様が増えていき、最近ではYouTube(ユーチューブ)に動画を公開するYoutuber(ユーチューバー)からも仕事の依頼を受けています。お客様との契約時には必ず、私を選んだ理由を聞いていますが、「先生の評判が良かったから」と言われることがあります。最初はどこで評判が良いのか検討がつきませんでしたが、SNSや仲間内の掲示板などで税理士に関する情報共有が行われていて、それを参考にお願いしてきたそうです。ネット上での口コミですね。

――どのような点が評価されていますか。
 土日や夜でも対応するところが大きな決め手になっているようです。これまで税理士事務所といえば、月に1回訪問するのが一般的だったと思いますが、最近の若い経営者や起業家は、毎月の定期的な訪問よりも、自分のペースに合わせてサポートしてくれる税理士を望んでいるように感じます。また、悩みや問題が発生した時点でスピーディーに解決してほしいというニーズも高く、私もできるだけ素早くお応えするように心掛けています。ITの進歩によってコミュニケーションの手段が多様化し、同時に働き方も大きく変わってきていますので、税理士事務所の対応も変えていく必要があると考えています。

――ITに慣れているようですが、国税局や税務署でシステム系の部門などを担当されていたのでしょうか。
 東京国税局のホームページの制作やe-Taxのシステム開発などに従事したこともありますが、とりわけITに詳しいというわけではなく、SNSなどは便利なので使っている感じです。現在、東京税理士会の情報システム委員会の委員を務めていますが、ほかの委員の先生方はITにとても詳しく、いろいろと勉強させてもらっています。

――関与先への対応で気を付けていることはありますか。
 お客様に合わせてスピーディーに対応するだけでなく、ひとつの質問に対し、いろいろな角度から回答を提示するように心掛けています。また、申告書などを作成する際には、細かいところまで気を配り、最後の最後まで手を抜きません。それが、お客様の安心に繋がると考えているからです。もちろん、自分自身のスキルアップも欠かせませんので、夜の時間帯は勉強していることが多いですね。

――税務以外のサポートも行っているとお聞きしました。
 経営計画のソフトを活用してお客様の経営面をサポートしています。また、国税時代は人材育成や組織のマネジメントなども現場で長年経験してきました。特に、管理職となってからは、子育て中の部下や病気療養中の家族を持つ部下などがたくさんいて、様々な事情を抱える人たちが組織の中で働く難しさを、身を持って経験してきました。独立後はそうした理解をさらに深めるため、福祉コーディネーターや食と健康アドバイザーの資格を取得し、お客様からの相談に活かしています。ちなみに、育児休業制度が定められた後、私は東京国税局で初めて育児休業を取得しました。近年、企業のワークライフバランスへの取組みが重視されていますが、その点では、東京国税局において草分け的存在だったかもしれません。

――今後の展望についてお聞かせ下さい。
 仕事の流れや作業の効率化を図ることで、お客様一人ひとりの満足度をより高めていきたいと思っています。また、国税局や税務署でお世話になった恩返しとして、国民に対する税知識の普及や納税意識の高揚を目的とした一般社団法人の設立準備を進めています。個人として法人会などのセミナー講師や執筆活動を行っていますが、これからは一般社団法人を通じて、税知識の普及など社会貢献活動にも積極的に取り組んでいきたいですね。

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