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税務バトルから学ぶ 審判所の視点 ザ・ジャッジ

特別控除は適用されるか!? 医療機関の診療協力金の税務処理めぐるバトル

2021/07/20

 医業を営んでいる請求人は、平成26年4月1日付でA医師と雇用契約を締結し、自らの医業に従事させていた。請求人は、平成27年5月15日付でF会と相互の円滑な運営を期することを目的とした医療機関診療協力要綱を締結した。要綱では、要旨次のことが定められていた。

 ①請求人からF会へ○○される医師はA医師が担当する。②診療協力の期間は、平成27年5月20日からF会の内科常勤医師が就任するまでの期間とする。③診療協力の日は毎週水曜日を原則とし、診療時間は14時から17時までとする。ただし業務の都合により変更する場合があることを請求人およびF会は互いに承諾するものとする。④診療協力に伴う協力金は1回当たり4万円とし、F会は請求人に対し当月分を翌月末までに請求人による請求書に基づき支払うものとする。

 請求人は要綱の定めに基づき、F会に対し、A医師がF会の診療に従事した月の翌月初めに請求書を作成し、F会からの協力金を受領した。

 請求人は、A医師に対し賞与として、平成28年7月25日に84万円、平成281222日に96万円の計180万円、平成29年7月25日に48万円をそれぞれ支給し、平成28年分および平成29年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入した。

 そして、請求人は、雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除を適用して所得税等の確定申告をしたところ、原処分庁は本件特別控除の適用を受けることができないとして、更正処分および過少申告加算税の賦課決定処分をしたことから争いが起きた。

 争点は、請求人に本件特別控除の適用があるか否か。具体的には、協力金は、旧措置法第10条の5の3第2項第3号括弧書きに規定する「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に該当するか否か。

A医師に賞与を支給したのは協力金の支払いを受けたため

 請求人は、「F会とA医師との間には、契約書の作成はないものの雇用契約が存在する。要綱は、A医師の在籍出向のために作成されたものであり、請求人は、F会が負担するA医師の給与を協力金として受領したものであるから、協力金は実質的に出向に伴う給与負担金である」と主張。

 一方、原処分庁は、請求人が経営する診療所に勤務するA医師を診療協力として別病院の外来患者の診療に従事させたことに伴いF会から請求人が支払を受ける協力金について、①F会が委託費として経理処理していること、②F会の経理担当者が「A医師の給与に充てるために(請求人に)支払ったものではない」旨証言していることを理由に、本件特別控除に規定する「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に該当しないから、請求人は本件特別控除の適用を受けることができないとした。

 これに対して審判所は、請求人とA医師との雇用契約に賞与を支給する定めがないにもかかわらず、請求人がA医師に対して診療協力の回数に応じて賞与を支給していたことは、A医師が診療協力に従事し、協力金の支払を受けたために他ならないことから、協力金はA医師に対する賞与に充てるためにF会から支払を受けたものと認められると判断。

 したがって、協力金は、租税特別措置法第10条の5の3第2項第3号括弧書きに規定する「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に該当するとして、原処分庁の処分を取り消す判断を示した。(令和2年77日裁決)

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