学校法人よ、おまえもか!仮想通貨で1億円の損失
2019/07/16
「億り人」という言葉もすっかり死語になってしまった感がありますが、2年前の2017年は仮想通貨のビットコインが1年で20倍に急騰して、億万長者の仲間入りをした若者たちがそう呼ばれたものでした。とはいえ、この手の投資で成功するのは100人に1人といわれますから、1人の「億り人」のバックには、夢破れた99人の若者たちがいた勘定になります。
仮想通貨に「億り人」の夢を抱いたのは、若者たちだけではありませんでした。なけなしの退職金や年金をつぎ込んだ高齢者も多かったそうです。しかし、2018年になると580億円もの仮想通貨が引き出されたコインチェック事件が起きたりして、いろいろ規制が厳しくなり、仮想通貨ブームもすっかり潮が引いたようになってしまいました。2019年5月には、法律が改正されて「仮想通貨」は、「暗号資産」と呼称が変わりましたが、一般には依然として「仮想通貨」のほうが通りがいいようです。
そんな中、2019年7月3日の新聞報道で明らかになったのが、学校法人で起きた仮想通貨への投資と損失をめぐる事件です。大阪観光大などを運営する学校法人「明浄学院」で、理事長を務めていた女性が大学の運営資金1億円を仮想通貨の購入に当てていた疑いがあるというのです。
女性は、2018年4月、自身が取締役を務める関連会社に学校の運営資金1億円を振り込むように学校法人の職員に指示しました。1億円が振り込まれた関連会社の代表取締役を務める男性は、学校法人の理事も務めていましたが、その1億円を仮想通貨に投資しました。仮想通貨はその後数十万円にまで暴落したそうです。女性は、1億円の運用について理事会に諮っておらず、責任をとって2019年6月に理事長を辞任しました。
学校法人「明浄学院」は、18年度、文部科学省から日本私立学校振興・共済事業団を通じて大学の補助金として1億3千万円を交付されていたというのですから、何をか言わんやです。