NPO法人のグループホーム、生活保護費から脱税
2021/03/09
グループホームは、認知症高齢者が少人数で共同生活をする施設として全国で13,000を超える事業所があるといわれています。グループホームの入居者は、認知症高齢者といっても、ある程度自立して生活できることが条件で、寝たきり状態の人は入居できません。初期費用として一時金と保証金などで、だいたい100万円ぐらいが一般的ですが、入居金をゼロにして入居しやすくしている施設などもあります。入居後の月額費用は、地方や郊外で10万円~15万円、都市部では15万円~30万円程度が目安となっているようです。
こうしたグループホームの中には、生活保護者を対象としたものも多く、生活保護費で運営されていると聞くと、あまり利益は出ない福祉事業のように見えますが、どうしてどうして、「貧困ビジネス」という言葉もあるように、やはり蛇の道は蛇なのです。
東京都と千葉県で5カ所のグループホームを運営する有限会社「アートアシスト」とNPO法人「なかよしネット遊歩」が法人税約6,500万円を脱税したとして、この2法人と先達徳男代表を東京国税局査察部が千葉地検に告発したことが令和3年2月25日の報道で明らかになりました。
5つのグループホームには常時70人ほどが入居し、その大半は生活保護を受けていました。月額利用料は11万円~14万円ほどで、生活保護費と同額程度に設定していたとみられています。先達代表は、自治体から現金書留で送られてくる生活保護費を売上げから除外したり、入居者から預かった通帳から引き出したり、経費を水増ししたりして、2018年9月までの3年間で約2億7千万円の所得を隠して、6,500万円を脱税したとされています。
先達代表は、すでに10年ほど前から売り上げを除外していたらしく、そうして得た資金4億円と、投資で得た資金2億円の合わせて6億円を寝室の段ボールに入れて保管していました。
我が国では生活保護を受けている65歳以上の世帯は、2019年度約90万世帯で10年前の1.6倍に達しているそうです。そのうち単身世帯が9割を超えていて、グループホームの利用者も多く含まれていると見られています。