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富裕層の追徴税額が過去最高に 平成30事務年度所得税・消費税調査

2019/12/02

 国税庁はこのほど、平成30事務年度における所得税および消費税調査等の状況を公表した。それによると、所得税の実地調査の件数は、特別調査・一般調査が5130件(対前年比100.8%)、着眼調査が23449件(同101.0%)、簡易な接触の件数は537076件(同97.7%)で、これらの調査等の合計件数は61655件(同98.1%)。そのうち申告漏れ等の非違があった件数は373880件(同97.4%)だった。

 申告漏れ所得(調査等の対象となったすべての年分の合計)金額の状況を見ると、特別調査・一般調査によるものが5236億円(同103.1%)、着眼調査によるものは788億円(同96.8%)。一方、簡易な接触による申告漏れ所得金額は3017億円(同96.0%)。調査等の合計は9041億円(同100.0%)となっている。

 実地調査による追徴税額は、特別調査・一般調査によるものが903億円(同101.8%)、着眼調査によるものは59億円(同98.3%)で、合計で961億円(同101.5%)。また、簡易な接触による追徴税額は233億円(同93.6%)となり、合計1195億円(同99.9%)となっている。

 1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種は次のとおり。
 1位「風俗業」(2685万円)、2位「キャバクラ」(2278万円) 3位「経営コンサルタント」(2045万円)、4位「システムエンジニア」(1339万円)、5位「特定貨物自動車運送」(1257億円)、6位「不動産代理仲介」(1189万円)、7位「貨物軽車両運送」(1186万円)、8位「ダンプ運送」(1147万円)、9位「畜産農業(肉用牛)」(1133万円)、10位「機械部品受託加工」(1119万円)。

 一方、消費税(個人事業者)の調査等を見ると、実地調査の件数は、特別調査・一般調査が28504件(同100.3%)、着眼調査が9919件(同104.4%)、簡易な接触の件数は47628件(同96.0%)となり、調査等の合計件数は86051件(同98.3%)。そのうち申告漏れ等の非違があった件数は62229件(同100.0%)だった。

 追徴税額(調査等の対象となったすべての年分の合計で加算税を含む)は、特別調査・一般調査が275億円(同110.0%)、着眼調査は23億円(同104.5%)簡易な接触による追徴税額は46億円(同92.0%)で、調査等合計で345億円(同107.1%)となっている。

 なお、国税庁では、海外取引等を行っている個人や海外資産を保有している個人などに対し、国外送金等調書、国外財産調書、租税条約等に基づく情報交換制度などを効果的に活用し、積極的に調査を実施。平成30事務年度における実地調査は4357件、申告漏れ所得金額の総額は849億円で、追徴税額は164億円。1件当たりの申告漏れ所得金額は1941万円となり、これは全体の1件当たりの申告漏れ所得金額1045万円の約1.9倍となっている。

 そのほか、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に「富裕層」への調査も積極的に取り組んでおり、実地調査の件数は5313件、追徴税額は203億円。1件当たりの追徴税額は383万円で、全体の1件当たりの追徴税額180万円の約2.1倍となった。

 また、無申告者に対しては的確かつ厳正に対応し、平成30事務年度の調査件数は8147件、申告漏れ所得金額は1658億円(1件当たり2035万円)、追徴税額は197億円だった。そのほか、インターネット取引を行っている個人に対し、資料情報の収集・分析を行った結果、実地調査は2127件で、申告漏れ所得金額は264億円(1件当たり1243万円)、追徴税額は58億円(1件当たり274万円)となった。

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