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保険・不動産Vital Point of Tax

令和4年の配偶者居住権の登記は892件 前年から12件増加

2023/03/07

 令和4年の1年間における配偶者居住権の設定の登記件数は892件で、前年から12件増加したことが法務省の登記統計から分かった。個数は前年から22件増加の922個だった。

 法務省の登記統計によると、配偶者居住権制度が施行された令和2年4月当初は利用件数がごくわずかで、その後も登記件数は毎月1桁という状況が続いていた。しかし、令和2年12月頃から右肩上がりに増加傾向となり、令和3年、令和4年ともに800件を超えている。

 配偶者居住権は、夫婦の一方が亡くなったときに、残された配偶者が亡くなった被相続人の所有する建物(夫婦共有の建物も可)に居住していた場合で、一定の要件を満たすときは被相続人が亡くなった後も残された配偶者が賃料の負担なくその建物に住み続けることができる権利。残された配偶者は、被相続人の遺言や遺産分割協議などによって配偶者居住権を取得することができる。

 成立要件を満たしていれば権利として発生するが、配偶者居住権を第三者に対抗するためには登記が必要であり、居住建物の所有者は配偶者に対して配偶者居住権の登記を備えさせる義務を負っている。配偶者居住権の設定登記ができるのは建物だけで、その敷地である土地には登記できない。

 なお、配偶者居住権は第三者に譲渡したり、所有者に無断で建物を賃貸したりすることはできないが、建物の「所有権」を取得するよりも低い価額で「居住権」を確保することができるため、配偶者が配偶者居住権を取得することで、預貯金などのその他の遺産をより多く取得することができるメリットがある。

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