日税グループは、税理士先生の情報収集をお手伝いします。日税ジャーナルオンライン

MENU

保険・不動産Vital Point of Tax

複数の固定資産を交換した場合の所得税法第58条の交換適用で文書回答

2023/09/14

 東京国税局はこのほど、国税庁のホームページに「複数の固定資産を交換した場合の所得税法第58条に規定する交換の特例の適用について」の文書回答を公表した。

 それによると、照会者は計7か所の宅地(以下、本件各土地)を照会者の兄と共有で所有しているが、その共有状態を解消してそれぞれが本件各土地を単独所有とするために、一の交換契約により、本件各土地に係る共有持分の一部を交換(以下、本件交換。かかる契約を本件交換契約)することを予定している。具体的な内容は次のとおり。

➀照会者は、兄に対し本件各土地のうち4か所の土地(以下、本件各譲渡土地)に係る共有持分を交換に係る譲渡資産として譲渡する。
②照会者は、兄から本件各土地のうち本件各譲渡土地を除く3か所の土地(以下、本件各取得土地)に係る共有持分を交換に係る取得資産として取得する。
③本件各取得土地の価額の合計額は本件各譲渡土地の価額の合計額を上回るが、その差額(以下、本件交換差額)について金銭その他の資産の授受は行わない。

 所得税法第58条《固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例》に規定する特例(以下、交換特例)の適用に当たっては、同条第2項において譲渡資産の価額と取得資産の価額との差額が20%を超える場合には適用しない旨の規定(以下、交換差額要件)が設けられている。

 この点、本件交換の場合、本件各土地の価額につき個々の資産ごとに交換差額要件の判定をすると、組み合わせによってはその差額が20%を超える場合が生じる。そこで、複数の譲渡資産と複数の取得資産の交換の場合における交換差額要件の判定はそれぞれの資産の合計額に基づき行われ、本件交換差額が本件各取得土地の価額の合計額の20%以下となる場合には、交換差額要件を満たすものと解して差し支えないか、という照会を行った。

 なお、本件各譲渡土地および本件各取得土地に係る各価額は適正な時価であること、いずれの土地についても本件交換後も引き続き宅地として利用されること、ならびにその他の交換特例の適用に係る要件はすべて満たしていることを照会の前提としている。

 これに対して東京国税局は、照会に係る事実関係を前提とする限り差し支えないという見解を示している。

PAGE TOP