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インタビューInterview

新型コロナの影響を受けた事業者をクラウドファンディングで支援する!

2021/02/10

伊東 修平 税理士(東京都・板橋区)

 新しい資金調達手法として「クラウドファンディング」を利用する事業者が増えているが、伊東修平税理士は事務所を構える東京都板橋区を中心に、新型コロナの影響を受けて苦しんでいる事業者や創業間もない事業者をクラウドファンディングを通じて支援している。その取り組みやクラウドファンディングの魅力について話を聞いた。


――クラウドファンディングの支援に乗り出した経緯からお聞きします。
 数年前、ある2人の創業希望者から相談を受けたことがキッカケです。2人とも確かな技術や熱意があり、素晴らしい事業計画を持っていましたが、過去の失敗などにより金融機関から融資を受けることができず、「もう少しお金を貯めてからチャレンジしてください」としか言えませんでした。それがとても悔しくて、誰もがチャレンジでき、失敗してもやり直せる社会を創るための手段はないかとずっと模索してきました。そして出会ったのがクラウドファンディングでした。

――簡単に仕組みを教えてください。
 クラウドファンディングとは、「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた造語で、インターネット上に自分のやりたいことや夢、ビジネスであれば新しい商品やサービスをPRするページを作り、そのアイデアや理念に「共感」してくれた人から広く資金を集める仕組みです。

――どのような人が利用していますか。
 ビジネスで利用する場合は、創業資金を集めるために会社のPRを兼ねて利用する事業者が多いですね。また、新型コロナウイルスの影響を受けて苦労されている飲食店や理美容などの「BtoC」の事業者が、事業継続のためにクラウドファンディングを利用するケースも増えています。実際、昨年4月から私のところにもクラウドファンディングに関する相談が相次いでおり、多い時は週に20件以上の相談がありました。

――利用したいと思っても、支援者が集まるのか不安なところがあります。
 クラウドファンディングを成功させるには戦略を考える必要があり、特にSNSを通じたシェア・拡散は重要なポイントとなります。どんな人にページを見てもらいたいのか、どんな人がファンになって応援してくれそうか、具体的にターゲットを設定して、その人たちが共感してSNSで拡散したくなるような記事を作ることが求められます。また、協力してくれる仲間をできるだけ多く巻き込むことも重要です。これにより、募集開始前からプロジェクトの盛り上がりをアピールすることができますので、目標金額を達成する可能性がより高まります。

――伊東先生はそうした戦略をアドバイスしているわけですね。
 はい。まずはクラウドファンディングを実行する方にヒアリングを行い、支援者になりそうなターゲットを明確にします。そして商品やサービスの裏側にあるストーリーを引き出し、共感を得られるような記事を作っていきます。その際、商品やサービスを開発した背景などに目を向けると、ドラマチックなストーリーが隠れていることがあります。そのほかにもページ内の写真や動画の選定、出資者に対するリターン設計などをアドバイスしています。

――これまでどのようなプロジェクトを支援してきましたか。
 板橋区に事務所を構えていますので、板橋区を中心に支援を行っています。例えば、区内の古民家を再生して地域の魅力を発信するカフェを作るプロジェクトでは、目標金額250万円に対して334人の支援者から3713000円が集まりました。また、板橋区高島平の特産品「高島平ビール」を創るプロジェクトでは、目標金額100万円のところ230人の支援者から1738300円の資金を調達しています。新型コロナの影響を受けた区内の飲食店が力を合わせ、将来に向けての集客を行ったプロジェクトでは、目標金額200万円のところ291人の支援者から2296000円が集まりました。

――目標金額を達成して事業者も喜んでいますね。
 目標を達成したことは喜んでいますが、そもそもクラウドファンディングをビジネスで利用する場合、資金調達そのものが目的ではなく、商品や会社を「プロモーション」するために利用したり、市場にどれだけ受け入れられるかを「マーケティング」する目的で利用されています。また、様々な工夫を凝らすことで、募集を終了した後も支援者であるお客様と繋がり続けることができるところもクラウドファンディングの大きな魅力といえます。

――どのような工夫が考えられますか。
 例えば、支援者へのリターンとして『特別会員権』を付与して、常に割引で商品を購入できたり、サービスを受けられる特典を与えます。すると、その後も支援者はリピーターとなって事業を応援してくれる可能性が高まります。そうしたファンをたくさん作ることができれば、それだけ未来の売上を確保できます。つまり、クラウドファンディングの支援を通じて「売上を作れる税理士」になることができるわけです。

――それは差別化にも繋がりますね。
 そのとおりです。私は創業支援に力を入れていますが、この分野はライバルも多く、レッドオーシャンといえます。しかし、税理士による創業支援といえば、融資の支援や補助金の支援、税務会計などのバックオフィスが中心です。一方、クラウドファンディングを支援すれば、創業する前から商品をプロモーションしてファンを作り、資金まで集めることができますので、創業支援においても大きな武器となります。

――その武器を手に入れるためには、クラウドファンディングを支援するノウハウを習得する必要がありますね。
 税理士業務の合間に独学で勉強するのは容易なことではありません。そこで、一人でも多くの起業家に夢を実現させてほしいとの想いから、これまで培ってきたノウハウを税理士など士業に提供する「士業クラウドファンディング支援協会」を設立しました。まだ立ち上げたばかりですが、関与先のクラウドファンディングを支援する会員も出ています。協会では「業務提携」と「認定サポーター」の2つの提携方法により入会を募っていますので、もし興味がございましたら協会のホームページをご覧ください。

――クラウドファンディングを支援している士業は少ないのでしょうか。
 ほとんどいないと思います。ですから、今から取り組んでも地域ナンバーワンになるチャンスは十分あります。板橋区では、新型コロナ対策としてクラウドファンディングにかかる手数料の一部を助成していますが、クラウドファンディングを支援する専門家として私に声がかかり、区の担当者と一緒に事業者の相談などに乗っています。このように自治体と一緒に仕事ができるチャンスもこれからさらに増えてくると思います。

士業クラウドファンディング支援協会のホームページ
https://sigyo-cf-kyokai.com/

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