ビジネスパートナーを見極めながら相続・事業承継を総合的にサポート
2017/11/24
岡村 宝美 税理士
――岡村先生は22歳で税理士資格を取得されたそうですね。
高校卒業後、専門学校に通いましたが、カリキュラムがしっかり組まれていて、2年間は遊ぶ暇もなく毎日勉強していました。卒業後は税理士事務所に勤務しながら勉強し、簿財と所得税法、相続税法と4科目までは良いペースで受かりましたが、得意科目だった法人税法がなかなか取れず、勉強を始めて5年目で5科目合格しました。
――独立するまでどのような事務所に勤めてきましたか。
最初は、専門学校の先生の紹介で、所長一人で記帳代行などを行っている事務所にお世話になりました。その後、上場会社グループの連結決算やベンチャー支援などを展開する税理士法人に勤めましたが、相続・事業承継の支援に特化したいと思うようになり、そこを辞めて大手の税理士法人に就職しました。過去の勤務先はどこもタイプが違いますので、いろいろな角度から税理士業務を勉強させて頂きました。
――仕事と育児を両立されていたそうですが、大変ではありませんでしたか。
大手の税理士法人に就職して間もなく妊娠が分かり、出産後8カ月で職場復帰しましたが、最初の頃は子どもの体調不良などで休むことが多かったですね。その後は落ち着いてきて、日帰り出張も行えるようになり、しばらくしてプロフィットマネージャーを任されました。相続・事業承継の相談対応は年間数百件に上り、非常にやりがいのある職場でしたが、チームの成績を気にしながら、部下や新人を育てる立場になると、一プレーヤーの頃とは違って仕事と育児の両立は本当に大変でした。そして、いろいろと悩んだ結果、思い切って独立することを決意しました。
――独立後、まずどのような活動をされましたか。
いろいろな交流会に参加し、ビジネスパートナーになりそうな人を探しました。勤務時代は、案件に応じてグループ内の弁護士や司法書士、公認会計士と一緒に仕事を進めてきましたが、独立後は誰もいませんので、自分で信頼できる人を探す必要があります。その際、税理士で相続専門と言うと、「何か、仕事になりそうな案件はありませんか」などとアプローチしてくる方が非常に多いですが、このような方はお断りしています。お互いのビジネスにとってプラスになる存在かどうか、何より、お互いに協力することでお客様の満足度をより高められるかどうか、そこをしっかりと見極めた上で一緒に仕事をする相手を選んでいます。
――ビジネスパートナーから、相続案件を紹介されることも多いのでしょうか。
私が受注している仕事の大半は、ビジネスパートナーからのご紹介です。提携している葬儀社からもお客様の相続に関する相談を多く頂いています。もちろん、その中には、税理士を必要としない相談もありますが、手続き関係などで専門家のサポートが必要となるケースも出てきますので、そのような場合は私が窓口となり、お客様が安心して依頼できる専門家をご紹介しています。
――相続後の手続きや問題をワンストップで解決してもらえるのは嬉しいですね。
その葬儀社の社長様は、「お客様へのアフターフォローが行き届いていれば、また何かあった時に、あそこなら安心して頼めると言って頂ける。それが一番の理想ですね」とおっしゃっていました。私がそのアフターフォローのお手伝いをすることで、葬儀社の顧客満足度が高まり、その中で相続税の仕事が出てくれば、私のビジネスに繋がってくる。このような関係がビジネスパートナーだと考えています。葬儀社の従業員の方々にも相続後の手続きの流れやよくある相談について知ってもらいたいと思い、社内勉強会の講師なども務めています。
――岡村先生は相続に関するセミナー講師も多くされていますね。
それも交流会で知り合った方々からの依頼がほとんどです。例えば、保険会社で相続や事業承継の提案を得意とする営業担当者向けに講演を行ったり、イベント企画会社からの依頼で一般向けの相続セミナーの講師を務めています。また、提携先の社団法人が、銀行の一般向け相続研修会の仕事を受注し、私は関東エリアの講師を担当しています。
――独立後の種まきが今の好調に繋がっているように思います。
事務所の売上や顧問先数など、何をもって好調と判断するかは人それぞれですが、私の場合は相続・事業承継で勝負したいと思い、その分野で仕事が取れていますので、今のところは好調だと言えますね。良い仕事がたくさんできるように、これからも種まきは続けていくつもりです。
――今後のビジョンをお聞かせください。
5年後、10年後も変わらず、相続・事業承継の支援に特化し、スピーディーにきめ細やかな対応をすることで、お客様に喜ばれるサービスを提供していきたいと思います。相続・事業承継をウリにしている以上、その分野に関するお客様からの質問に答えられないのは、プロとして自分が許せませんので、スキルアップも継続していきます。同時に、セミナーや研修会の講師も積極的に行い、多くの方々に相続・事業承継の知識や事前対策の重要さを伝えていきたいですね。私の勝手な希望ですが、夫も会計人なので将来は一緒に仕事ができれば良いかなとも思っています。