日税グループは、税理士先生の情報収集をお手伝いします。日税ジャーナルオンライン

MENU

税務の勘所Vital Point of Tax

令和5年度税制改正大綱 インボイス制度の変更点を解説(上)

2023/01/24

 令和4年12月16日に令和5年度の税制改正大綱が公表されました。大綱によれば、令和5年10月1日からのインボイス制度導入に向けて、登録事業者となる免税事業者のための負担軽減措置や事業者の事務負担軽減措置が盛り込まれることになります。また、これと併せて、登録申請手続き等の見直しも行われます。

課税売上高1000万円以下は納税負担が売上税額の2割

 まず、免税事業者に係る負担軽減措置ですが、免税事業者がインボイスを交付するために登録事業者(課税事業者)となった場合、その業種にかかわらず、納税額を売上税額の2割に抑える特例が創設されます。

 この特例の適用に当たっては、事前の届出が不要であり、申告時に選択適用できる制度となるようです。言うなれば「ネオ簡易課税制度」といったところでしょうか。なお、あくまでも基準期間における課税売上高が1000万円以下である者が対象となり、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間における時限適用となる予定です。

 従来からある簡易課税制度では、サービス業ですと基本的には50%のみなし仕入率となりますから、納税額が売上税額の5割にしか抑えられません。これでは負担が重すぎるということで登録をためらうフリーランス等の事業者は多いです。しかし、この特例の創設により、税負担が2割に抑えられるほか、初めての消費税申告ということを考えると、その申告実務といった面でも、ハードルが下げられるように思います。従来、その登録をためらっていたフリーランス等の事業者についても、少し登録をしやすい環境が整ったのではないでしょうか。

 一方、買手側となる大手の事業者についても、影響が大きいように思います。従来、買手側の事業者が、外注先であるフリーランス等の納税負担や事務負担を考えると、登録を促すことに二の足を踏んでいたところもあるようです。

 ただ、この特例により、売手側の外注先における登録のハードルが下げられましたから、買手の事業者側でも登録を促しやすくなるのではないでしょうか。外注先の納税負担が2割まで抑えられますが、それでも厳しいようであれば、報酬に少し色を付けて登録を促すとか、申告方法についてレクチャーすることを条件に登録を促すといった方法を併せて行うことも効果的なのかもしれません。

 この「ネオ簡易課税制度」は、登録に関して根詰まりを起こしていた、外注先と買手側の事業者との間にある登録作業という流れを良くする働きがあり、そういった意味では一定の評価ができるのではないでしょうか。

 しかし、その反面、納税額の2割負担という麻酔が切れた時点での懸念は残ります。この特例は、あくまで時限適用であり、今のところ恒久法ではありません。2割負担に抑えられていた事業者の納税負担が、一気に5割負担となるような場合にその事業者が耐えられるのか。一度登録を行ったからには、おいそれと登録を取り消すわけにもいかないように思います。

 後は野となれ山となれというわけにもいきませんから、特例適用期間中に売り手と買い手の事業者間で根本的な解決方法を探っていくということも必要なのかもしれません。

 アドバイザー/渡辺 章 税理士

  渡辺章税理士がインボイスを解説するYouTubeはこちら(2020年11月公開) 
  https://www.youtube.com/channel/UCPxPcgLNAL1sh0yKoK4_NmA

PAGE TOP