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税務バトルから学ぶ 審判所の視点 ザ・ジャッジ

ネット販売の事実隠蔽か? 代表者に母親の名前を掲載

2024/02/16

 会社員である請求人は、平成24年頃から副業としてインターネット上に開設したネットショップで、自身で輸入した商品を販売。平成26年頃には、F社が運営するショッピングサイトに店舗名を「G」とするネットショップを出店した。

 税務調査が行われていた令和3年7月27日時点で、ネットショップの出品者情報を表示する「出品者プロフィール画面」の「特定商取引法に基づく記載事項」欄には、正式名称「H社」、代表者「J」(請求人の母の姓名)、住所「○市△町」と記載されていた。なお、請求人はネット販売を行うに当たり平成26年9月まで「○市△町」に所在するバーチャルオフィスサービスを請求人本人名義で契約していた。

 請求人は、平成26年分ないし令和2年分の所得税等の確定申告書を法定申告期限までに提出せず、平成27年から令和2年までの各年の課税期間の消費税等の確定申告書も法定申告期限までに提出しなかった。

 その後、原処分庁の調査を受け、請求人は本件各年分の所得税等および本件各課税期間の消費税等の確定申告書を令和4年1月25日に提出。これに対し原処分庁が無申告加算税および重加算税の各賦課決定処分を行ったことで、請求人はこれを不服として審査請求を行った。

 争点は、請求人に通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったか否か。

商品の仕入れや代金回収など請求人の実名で行われている

 原処分庁は、「請求人は出品者プロフィール画面の正式名称欄に「H社」と実在しない会社名を記載し、代表者欄に「J」と請求人の母の名を記載するなどして、取引名義を仮装することで、ネット販売を行っていた事実を隠蔽していた」と指摘。

 一方、請求人は、「出品者プロフィール画面の出品者情報の内容欄は、出品者の任意記載項目で自由に入力ができるため、正式な名称の記載を求められていない。自身の名前を記載しなかったのは、勤務先に副業が知られないようにするためで、代表者欄に母の名を記載したのは、請求人が会社で勤務している間に母が商品の梱包発送作業に従事していたからである。さらに、ネット販売で売上代金を受領していた預金口座は請求人名義であること、商品発送時には発送者名に自身の名前を記載していること、発送元の住所も請求人の自宅住所を記載していること、本件ネット販売で顧客との連絡等に使用していた電話番号は請求人が契約しているものであることから、取引名義を仮装したことにはならない」と主張した。

 審判所は、「請求人は、出品者プロフィール画面に請求人の携帯電話番号を表示するなど、顧客に対して請求人自身が本件ネット販売を行っていることを示す行動をしていること、商品の仕入れや売上代金の回収において、一貫して請求人の実名で取引を行い、請求人名義の口座を用いていたことからすると、商品の出品の段階において、請求人の親族の氏名などを記載していたことをもって、直ちに請求人が本件ネット販売を行っていることを隠したなどと評価することはできない」と指摘。

 「請求人は、商品の仕入れから売上代金の回収までの取引の各段階において、本件ネット販売の取引上の名義に関し、あたかも請求人以外の者が取引を行っていたかのごとく装い、故意に事実をわい曲するなどの仮装行為を行っていた、または請求人に帰属する本件ネット販売の売上げを秘匿する等の隠蔽行為を行っていたとは認めることはできないから、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとは認められない」と判断。原処分の一部を取り消した。

(令和5年1月27日裁決)

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