テレワークの通信費や手当の非課税基準を示す
2021/01/25
新型コロナウイルスの感染拡大や政府の非常事態宣言の発令を受けて、多くの企業が在宅勤務(テレワーク)を導入しているが、社員が自宅で仕事をするようになれば、光熱費や通信費など様々な費用がかかってくる。こうした費用を会社が負担した場合の税務処理の基準として、国税庁はこのほど「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」(源泉所得税関係)を公表した。
それによると、まず、企業が従業員に在宅勤務手当を支給した場合、在宅勤務に通常必要な費用の実費相当額を精算する「実費精算」により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については非課税となる。しかし、社員に毎月5000円など一定額を支給(従業員が在宅勤務に通常必要な費用として使用しなかった場合でも、その金銭を企業に返還する必要がないもの)する場合は、従業員への給与として課税対象となる。
次に、従業員が負担した通信費の計算方法だが、電話料金については「通話料」と「基本使用料」について示しており、通話料は通話明細書等で業務としての通話料金が確認できるため、その部分の企業の負担は非課税扱いとなる。
一方、電話料金の基本使用料やインターネット接続に係る通信料については、1カ月のうち在宅勤務した日数分の半額を、仕事に使った実費にあたるとみなされる。FAQでは、例として従業員が9月に在宅勤務を20日間行い、その月の基本使用料や通信料を1万円とした場合、「1万円×20日(在宅勤務日数)/30日(9月の日数)×1/2=3334円(1円未満切上げ)」という計算式を示している。
もっと分かりやすく言えば、1カ月(30日間)の通信費が6000円で、半分の15日間が在宅勤務だった場合、6000円×1/2(30日の半分)×1/2の1500円が非課税になるわけだ。この算式によらずに、より精緻な方法で業務のために使用した基本使用料や通信料の金額を算出し、それを企業が従業員に支給しているのであれば、給与として課税しなくて差し支えないとしている。
また、在宅勤務でかかった電気料金についても算出方法を示しており、「1カ月の基本料金や電気料金×業務のために使用した部屋の床面積/自宅の床面積×1カ月の在宅勤務日数/月の日数×1/2」で算出した金額が非課税となる。
なお、自宅に在宅勤務をするスペースがない場合、自宅近くのレンタルオフィスなどで在宅勤務をすることを認めている企業もあるが、このような場合は、①従業員が在宅勤務に通常必要な費用としてレンタルオフィス代等を立替払いし、かつ、②業務のために利用したものとして領収書等を企業に提出してその代金が精算されているものについては、従業員に対する給与として課税する必要はない(企業が従業員に金銭を仮払いし、従業員がレンタルオフィス代等に係る領収証等を企業に提出し精算した場合も同じ)。