持続的賃上げ、所得向上の実現、国内投資促進に向けた減税措置を検討
2023/10/04
政府の「新しい資本主義実現本部」は9月27日、新しい資本主義実現会議(第22回)を開催した。
新しい資本主義実現本部は、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした新しい資本主義を実現していくため、内閣に設置されたもの。新しい資本主義の実現に向けたビジョンを示し、その具体化を進めるために「新しい資本主義実現会議」を開催している。
第22回会議では、地方や中小・小規模企業も含めた潜在的な成長力の強化・高度化に向けた投資促進などを抜本的に図るため、潜在成長力の強化に資する減税の実施をはじめ、経済対策の立案を行うことが議論された。
経済対策の立案では、次の点を中心に検討が進められる。➀足元の急激な物価高から国民生活を守るための対策、➁地方・中堅中小企業等を含めた持続的賃上げ、所得向上の実現、③成長力の強化・高度化に資する国内投資促進、④人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革の起動・推進、⑤地方の成長を図る国土強靭化など国民の安全・安心の確保。
➁地方・中堅中小企業等を含めた持続的賃上げ、所得向上の実現では、中小企業等についての賃上げ税制について、繰越控除・措置の期限の在り方など減税措置の強化を検討する。
また、③成長力の強化・高度化に資する国内投資促進では、以下の減税措置を重点項目として検討する。
(1)国内投資促進について、初期投資コストおよびランニングコストが高いため、民間として事業採算性に乗りにくいが、特段に国として戦略的に長期投資が不可欠となる投資を選んで、減税制度の創設。
(2)我が国においても、海外と比べて遜色なく民間による無形資産投資を後押しする観点から、特許権等の知的財産から生じる所得に対して優遇する減税制度の創設。
(3)スタートアップのストックオプション関連の法制度や税制を早急に使い勝手のよいものとするため、株主総会から取締役会への委任内容の拡大など、会社法の特例を規定した法案の国会への提出を図る。また、ストックオプション税制の権利行使額の上限額の引き上げ等、減税措置の充実。
(4)企業の参入・退出を促進するため、親族や長く勤めた従業員が事業を承継する場合の事業承継税制について、減税措置に係る特例承継計画の申請期限の延長等。
なお、減税の具体的措置については、今後の税制改正検討過程において検討される見通しだ。